ロエベとコラボで盛り上がってる「ハウルの動く城」ですが、改めて見ると本当に魅力的な物語であり、いまだに人気なのも納得できます。
そこで、「ハウルの動く城」に隠された難解なストーリーや、ハウルの正体などをネタバレ込みで考察してみました!
ハウルの正体は鳥人間?
サリマンがソフィに「ハウルの正体を見せましょう」と言い、ハウルが鳥人間に変わっていくシーンがあります。
サリマンは「ハウルの正体は醜い鳥の化け物なんだぞ!」と突き付けましたが、これは本当なんでしょうか?
この謎を考察&解説してみます!
何故、ハウルの正体は鳥人間なのか
- 自らの魔法で変身している
- カルシファーとの契約で化け物の力を得た
何となく見ているとこう取れますが、その他にも恐ろしい可能性が考えられます。
鳥人間の姿はハウルにかけられた呪いである
何故なら、サリマンの「彼にかけられた呪いの解き方を教える」という発言があったため。
また、ハウルが鳥人間の姿から戻れず苦しんでいた夜にソフィが「あなたに掛けられた呪いを解きたい!」と伝えていることからも、ハウルの醜い姿は呪いであることが示唆されています。
では、何のためにハウルに鳥人間の呪いが掛けられたのでしょうか?
呪いが掛けられた理由
犬のヒンが元人間でありサリマンの使い魔になっていることからサリマンは自分の虜にした男を支配して使い魔にすることができる魔女だと言われています。(岡田斗司夫さんの解説より引用)
しかしハウルは心をカルシファーに預けている為「心ここに在らず」で、彼女の魔力には心酔せず、精神コントロールから逃れられたのではないでしょうか。
サリマン先生が自分に仕えさせる小姓たちを幼いハウルに似せていることから、ハウルが自分の魔力で虜にならなかった唯一の男であったことへの強い執着を感じられます。だからこそ、可愛さ余って憎さ百倍で呪いをかけたのでは?とも考察されます。
軍事兵器として改造された可能性
戦闘に参加するハウルが黒い鳥人間に変身するのは、魔法学校時代に生物兵器にされたからだとも考えられます。
ある戦闘でハウルは空飛ぶ魔物に襲われ、その化け物の事をハウルは「同業者に仕掛けられた」と言います。
それに対してカルシファーは「そいつら、人間には戻れないだろうから後で泣くことになる」と言い、ハウルは「泣くことすら忘れるだろうから平気だ」と切り捨てます。
「人間には戻れない」ということは、彼らは魔法で変身した人間であり、
その変身には理性を無くしてしまう副作用があるとわかります。
つまりこの戦争下では、人を化け物に改造する残酷な魔法がまかり通っているということです。
このことから、ハウルもまたその犠牲者であり、実験体であった可能性は高いのではないでしょうか。
現実の戦争下でも、ナチス政権による非道な人体実験の数々や、冷戦下でのアメリカのMKウルトラなどの洗脳実験があります。またヨーロッパでは(多分フランス)では兵士にAIチップを入れ込むことでAIの判断で動くロボット兵士が開発されています。
どれも非人道的であり恐ろしい人体実験ですが現実にあることです。(戦中では日本やそれ以外の国でもあらゆる人体実験は行われています)そういった人間の非道性を「呪い」と称して匂わせている気がします。
ハウル自身が自分にかけた呪いの可能性
この呪いは、他者からかけられたものではなく、ハウル自身が無力な自分にかけた呪いである可能性もあります。
鳥人間姿の戦闘力は、ハウルの中にある怒りや憎しみの負のエネルギーを攻撃に転じていると思われます。
そして闇の力を使いすぎると(エネルギーとして肉体に馴染ませすぎると)人間の感覚を忘れて魔物になってしまう故に、カルシファーは「あまり飛ぶと戻れなくなる」と忠告したのでしょう。
この言葉からはハウルの鳥人間姿がカルシファー由来の力でなく、もっと邪悪な力であると分かります。
ハウルの中の怒りや憎しみが誰に向けてのものなのかは、作中ではっきりと描かれていませんが、彼の中には黒い感情が渦巻いているのは確かです。
しかし、カルシファーに心臓を預けているからこそ、闇のエネルギーから心が隔離されて完全な魔物化から逃れられているのかもしれません。
呪いをかけたのは荒れ地の魔女ではないのか?
荒地の魔女の「私は呪いはかけられるけど解けない魔女なの。あはは、失礼〜。」
このセリフ魔女っぽくて大好きです。
荒地の魔女はハウルの見た目を愛しているので、見た目が醜く変身するような呪いはかけていないと思います。(彼女は呪いを解けないらしいので)
ハウルはいつからソフィを好きになった?
「やぁ待った?ずいぶん探したよ。」
最初のシーンでナンパ男からソフィを助けに現れた時、ハウルはソフィが星空の女性だと確信していたはずです。
しかし掃除婦として現れたソフィのことは「君は何者?」とたずねます。
これは、ソフィの若い姿と老婆の姿が同一人物であると認識できなかったからではありません。
なぜならソフィが城にやってきた最初の夜に少女に戻った彼女の寝顔を見ても動揺していなかったからです。(呪いにかけられていることは見破っていた)
この時のハウルは、何を思ったのでしょうか?
何も語らないハウルからは、彼の本心は読み取れません。
この時はまだソフィが正体不明なことに変わりありませんから、ソフィに惹かれるものは感じても、ハウル自身も自分の気持ちが分からなかったのでしょう。
しかし、サリマンの元から戻ってからはハウルは愛情表現を惜しみませんでした。
彼女のために部屋を用意し、洋服をプレゼントし、自分の特別な場所に案内してします。この時は彼女が誰であるかをハウルは完全に確信していたと思います。
ソフィとハウルの本当の出会い
ソフィはハウルの過去にタイムスリップしています。
「ハウル!カルシファー!私はソフィ!
待ってて、きっと行くから!未来でまってて!」
この時に指輪は砕け散り,、ソフィは元の世界に戻ってきます。
ハウルにとって、これが本当のソフィとの最初の出会いです。
ソフィの指輪は砕けても、ハウルは指輪に「彼女に合わせて欲しい」とずっと祈りを捧げいたのかもしれませんね。
「やぁ待った?ずいぶん探したよ。」
ハウルは適当な事を言ったのではなく、ずっと待っていた星空の女性を見つけたからこんなセリフを言ったのです。
最初こそ、彼女が何者か分からずに様子を見ていたハウルですが、危険をかえりみず自分を助けようとし、愛していると言ってくれる女性が過去にやってきて「あなたを迎えに行くから私を見つけて!待っていて!」と叫んでいたと気付いたなら、特別な思いを持たない訳がありません。
だからハウルは確信した。
ソフィがあの時の女性で、運命の人がやっと来てくれたんだと。
その時にハウルはソフィに恋したと思います。
でも、元はソフィが言ったのに、彼女が自分の言ったことをわかっていないのが気に食わないから教えてやらなかったんでしょうね。
ソフィが過去から戻るとき、何故涙が止まらなかったのか?
それは、過去の世界で自分が発した言葉とハウルと出会った意味がようやく繋がったからでしょう。
ハウルはずっと前からわかっていたのに、自分だけがわかってなかった。
ハウルは彼女を見つけ出し、早く約束に気づいてほしくて、二人が出会った最初の草原に連れていったり、健気にずっとソフィが気づくのを待ってた。
そんなハウルの気持ちを考えると涙が自然にあふれてきます。
愛しいですね。
ソフィの呪いは解けたのか?
ソフィにかけられた呪いは、「自分の心に相応しい姿で在れ」という呪いだったのではないでしょうか?
いつも我慢して、自信がなく、何か諦めたような感じだったソフィはその心に見合った老婆の姿になってしまった。
しかし、心が高まった時は本来の美しさに戻る。
大好きな人の側にいられるからラストも美しい姿になっていましたが、まだ呪いは継続していると思います。
でも、二人の愛が続く限りソフィが老婆に戻ることはないでしょう。
またハウルの呪いも解けていないはずです。
ですからまた戦争に巻き込まれて人を焼くようなことがあれば、今度こそ心とともに魔物と化して戻れなくなる可能性があります。
二人は愛し合い、支え合いながら心のバランスを取っていくという課題は与えられていると思います。
最後のシーンの意味は?
最後は、最も熾烈な争いをして合っていた両国が停戦の流れになり、カルシファーも戻ってきて、みんなで新しい城で暮らし、ソフィとハウルのキスシーンで終わり。
というハッピーエンドですが、実は地上ではまた開戦しているそうです。しかしそんなことは、天空の城で暮らすハウルたちには関係ありません。
もう戦争には関わりませんという意味で天空に城を構えたそうです。また最後の戦闘機のシーンはまだ終わってないということを示唆しているそうですが、分かりにくすぎですね。
個人的には、魔女との戦争が終わり、空飛ぶ城で優雅に暮らすとか、FF 8みたいなエンディングだなとも思いました。
ハウルの動く城の視聴法は、DVDか地上波放送のみとなります。
サブスクで配信されたら嬉しいですが、今のところはないようです。
おまけ
うましかてを!の意味は?
漢字に直すと「美味し糧を!」になります。
美味しいごはんに感謝!という意味です。
子供のマルクルには意味不明の呪文に聞こえますね笑
ハウルの動く城 カルシファー キッチンツール 【フライ返し】¥5,480 税込
カブの愛は実ったのか?
かかしのカブにかけられた呪いは残酷なものでした。
それは、愛する人のキスでしか解けない呪い。
カブのカカシが人間に愛されるわけがありません。
つまり「一人で孤独に無力感の中で死ね」という呪いです。
しかし、カブの人を見る目は確かでした。
カブは見た目の美しさではなく、秘められた心の美しさと優しさを見抜いてソフィを好きになり、懸命にソフィに着いていき、彼女を見守りサポートしました。
カブの献身的な想いはソフィに届き、感謝のキスで呪いは解けます。
最後のシーンで、空飛ぶ城の一室からカブのかかし棒を思わせる旗が揺らめいているので、彼はソフィの元に帰ってきたみたいです。
ハウルを何回も見たくなる謎と仕掛け
違和感の一つに、荒地の魔女の大きさが不気味なまでに変幻自在なところがあります。
ジブリの作画でキャラの大きさが安定しないというのは、この世のものではない不気味さを与えます。
霊や異次元の存在がありえない隙間に普通に入っていたりするあの不気味さを自然に当たり前に描いている不気味さ。魔法というのはそういう不自然な力なんでしょうね。
また老婆になってからのソフィの年齢が微妙に若返るのも初見では理解が追いつかず違和感を感じさせます。
その辺りの違和感の与え方もハウルの世界観を彩る魅力の一つとなってますね。
なんか分からない不気味さの正体を見つけたいからまた見たくなる。 好奇心をくすぐる仕掛けです。
魔法というのは美しいだけじゃない、とても不自然で不気味な力なんだっていう表現、結構好きです。
最後に、宮崎監督にとって、女というのは勝手な生き物で、強くて、賢くて、残酷で魅力的な生き物なんだなという女性観も垣間見えました。つまり、男にとって女はみんな魔女なんでしょうw
ハウルの動く城を見る方法
残念ながら現在はサブスクのサービスでの配信はなく、金ローかDVDを買ってみるしかありません。金ローの放送を待つのもいいですが、尺の問題でカットされたりするので、DVDの購入が手っ取り早いです。
私は、最近強烈に見直したくなってDVDを購入しましたが、買ってよかったなあとしみじみ思います。
ロエベとコラボで盛り上がっているのも購入後に知ったので、結構ニーズが高まったタイミングで視聴できてちょっと嬉しいw
ハウルの魅力は一回では語りつくせないですが、今回はこれで終わります。
またね~
全ての画像は©スタジオジブリ 「ハウルの動く城」公式サイトより常識の範囲内でお使いくださいとのことで引用させていただいております。