みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ
- 作者: 仲畑貴志
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2008/12/16
- メディア: 単行本
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コピーライターの仲畑貴志さんの本。長年の広告表現での場において、学んだことや感じたことを、まだ青い頃の自分にプレゼントするつもりで書き連ねたそうな。
前半はビジネスについて、先に行くほど表現についての内容になっている。
各項目は短くて読みやすく、更にぐっとくるキャッチコピーでタイトルがつけられている。なので、気になる部分だけを選んで読見返すのも面白い。
良い本はじっくりと落とし込みたいので、今の自分に刺さった項目だけ書き出してみたいとおもう。
22.「早い話が」から発想する方法。
広告表現において、商品の特徴やウリを端的にシンプルに核心を突きたい時に取る手法。枕に「早い話が」を付けて書き連ねて行く。
これは、あらゆる表現の場において使えるテクニックだと思う。例えば自己紹介や、意見を発表し合う場とか。
自分の生い立ちやそこまで想い至った考えをダラダラと語るのは野暮ったい。要点だけをダイジェストにまとめつつ、早い話が、私ってこうなんです。とか、こう思ってます。と言えたらスマート。
時間の足りない現代で、早い話がどうなのよ!?と結論を急いでいる人には共感できる内容ではないでしょうか。
26.アホな広告をする企業に入社すると、アホな仕事をやらされる。
受けての感情を無視したコマーシャルを流す企業は、社員の感情や感性を無視する可能性が高い、とのこと。
これについては、思うことは山のように有るけれど、その通りだと思ってます。
27.良いコピーを選べなければ、良いコピーは書けない。
モノの良し悪しを選ぶ尺度が、良いものを作り出す足場になる。
29.表現力の差は、他者の思いを想い、想い至る力の差。
コレが一番好き。というか、広告に限らず、アート以外の表現において一番重要だと思っている。そして、自分自身が生きる上で高めていきたい要素でもある。
これが核に無ければ、商業的表現は自己満足の俗物にしかならない。
私にとっての広告表現は、相手を思いやり、分かりやすく伝えていくことを軸とした愛で在りたいと思う。
58.日本語で言えよそんなこと。
よく分からない横文字の専門用語。広く伝える事を生業とする人には、平易な表現を心がけて欲しい。
64.戻る勇気。
モノを作る人にとっては必要不可欠な勇気にですね。煮詰まったもんは捨てて作り直す方が早い。分かっちゃいるけどねぇ。
72.何を言うか、如何に言うか。
これについては、面白い記事を最近読んだ。コラーゲンを世に広めた人の話。海外で豚足料理をそのまま英語に訳してメニューに載せるとゲテモノとして批判されたそうだ。しかし、名前をtonsokuと変更し、説明を求められるとフランス人が好んで食べるものだ、と言っただけで大ヒットしたらしい。物は言いようだな。
81.朝までコピー500本
オシャレぶったり、受け狙ったり、真似したりして、ネタも尽きた頃に引きずり出した最後のコピーにこそ、その人の魂が宿るっていう内容。
これは、「私はー」でやっても面白い。20ほど書き連ねるとそれ以降は意識下の思いが出てくるらしいのだ。自分の奥に眠る本音の言葉ば時に残忍で純粋で、ハッとするほど美しい。
82.パーになっちゃった。
締めの一説。
これは是非とも一読してもらいたい。昔リリーフランキーのコラムで、大人の中二病について語っているものがあった。まさかここで繋がるとわなぁ、という感想。自分の中の深みに潜って行く人には、ある種の覚悟が必要かもしれない。
自分の場合、刺さった内容はほぼ表現についての内容だった。ビジネスについて、敢えて選ぶならこれかな、というのもリストアップ。
1.バレてますよ、下心。
7.商品は、自分で自分の価値を語りなさい。
11.その商品に、会話を促す情報はあるか?
36.今更ながら、モノからコト。
力尽きたのでここまでにしときます。