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【オカルト・都市伝説漫画】緋翔伝 幾千の月のかけら 夢来鳥ねむ【絶版漫画レビュー】

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緋翔伝 幾千の月のかけら とは

こんにちは!ナノムーンです。

90年代初期の日本を舞台にした、オカルト都市伝説×ラブロマンス漫画を紹介します!
20年以上前の漫画ですがオカルト好きと称して夢来鳥先生を知らないのは勿体ないので是非読んでみてください。

緋翔伝 幾千の月のかけら 1巻 Kindle版
Kindle Unlimited 会員は、追加料金なし(¥0)で読み放題

 

ストーリー

主人公は、人間であった頃に重罪を犯して鬼に堕ちた青年「夏木(かき)

鬼が再び生まれ変わるには、罪に応じた役(懲役期間)清算しなければならず、闇の王使役式神のようなもの)されることで少しでも役を清算出来るよう日々勤めていた。

彼のほかにも4人の鬼たちが王に使えており、いずれも天文学的な年数の役を返し続けなければならない者たちである。

そんな夏木の目の前に千年前に死に別れた恋人「瑞穂」が現れるが、彼女は普通の人間として暮らしており、夏木の姿は見えない。 また夏木の業により瑞穂に近づいたり直接守ったりするような行動は禁止されている。

二人の間には大きな隔たりがあり、夏木には人として生きる瑞穂を切なく見つめることしか出来なかった。

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緋翔伝 幾千の月のかけらより

そして、闇の王も古代において光と闇の戦いに敗れ、悪の汚名を着せれたまま霊的存在となり、かつての妻であった勇樹(ゆき)の守護霊として彼女を守る存在であった。

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緋翔伝 幾千の月のかけらより

勇樹は普通の主婦であったが、前世の影響でかなり大きな霊力を持ち、闇の王や鬼たちの存在を見聞きすることが出来る。(しかし彼女はその力に苦悩する普通の会社員)

 

そんな夏木たちの周りで、日本を裏で牛耳っている裏の皇(すめらぎ)と呼ばれる一派が暗躍しはじめ、邪悪な霊たちが土地を守る精霊たちを蝕んでいき、その魔の手は瑞穂や勇樹にも伸びようとしていた。

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緋翔伝 幾千の月のかけらより

裏の皇とは、光側の援助を受けて活動する、土御門阿部一族(つちみかどあべのいちぞく)源頼光率いる四天王たちの霊体であり、彼らは人間であった頃から自分達に歯向かうものを妖怪や鬼とかこつけて葬り、政敵を貶め呪詛のつなぎにすることを躊躇わないような残忍で冷酷な者たちであった。

 

平安時代からの因縁の相手

夏木と源頼光率いる四天王との因縁は千年前に遡り、かつて夏木や瑞穂が人として生きていた頃、朝廷の陰陽師達がかけた阿部一族への呪詛が失敗して北陸地方に大飢饉を起こしてしまう。

その飢饉は「実方すずめ」と言われる現象で、藤原実方(ふじわらのさねかた)の怨みが雀になったと言われる妖怪が農作物を食い荒らした為に起こったと言われていたが、実は東北へ左遷させた藤原実方を呪い(式神)の餌にしようとした企みが失敗した為に起こった一種の呪詛返しであった。(実方は策略にハマり死亡)

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緋翔伝 幾千の月のかけらより

陰陽師達は、その責任を全て藤原実方の御落胤であった瑞穂姫になすりつけ、(みずほは雀の意味を持つ名前のため、妖怪の姫として言いがかりをつけた)源の頼光の命により瑞穂姫は追われる身となる。

瑞穂姫は、夏木の前世である山人の(れき)に助けられて逃げ落ちるが、頼光らに追い詰められて無惨に殺されてしまう。


緋翔伝 幾千の月のかけらより

2人は身分違いであっても幼い頃から深く愛し合う関係であり、礫は何としても瑞穂を助けたかった為に、道中たくさんの人を殺した罪で鬼となったのだった。


緋翔伝 幾千の月のかけらより

現代での決着とラストネタバレ

そして現代、日本中の精霊や神を巻き込んだ戦いの末、千年ぶりの因縁の決着は着いた。

裏の皇によって幽閉されていた表の皇(人間の陛下ではなく神的な存在)が解放され、強力な呪いの糧にされていた東北の幼い神は解放され、傷ついた東北の地に復興の力が与えられた。

一方、夏木と瑞穂は勇樹の力を借りてお互いの存在を認知しあうことが出来たが、基本的に現世で肉体を持ったまま触れ合うことは出来なかった。

しかし、一時的に瑞穂が精神体となった時に互いの気持ちを確かめ合うことが出来、瑞穂は全てを思い出し、いつか互いに人として生まれ変わる時まで想い合うことを誓う。

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緋翔伝 幾千の月のかけらより

因縁の戦いは終わり日本に平和が訪れてストーリーは完結するが、光と闇の戦いの真実は明かされず含みを持たせたまま物語は終わる。(外伝とかで続きは描かれているかもしれないが詳細不明)

最後のシーンに1Pだけ、夏木と瑞穂が夫婦としてお店を切り盛りしているパラレルが描かれています。現世では叶わないとされていますが、きっとどこかで二人は夫婦として結ばれている世界線があるのでしょう(^^)

 

感想

陰陽師、神話、龍、鬼、怨霊、呪詛、犬神筋、などなど、現代の都市伝説好きが大好物のキーワード盛りだくさんの内容で、今見ても勉強になるというか、面白かったです!

夢来鳥ねむ先生と制作チームの方々は、オカルトにかなり精通されている方で、当時小学生だった私は陰陽道的な知識や、呪い・呪い返し、言霊などのオカルト全般の基礎知識を夢来鳥先生の漫画で教わりました(笑

おそらく陰陽師的な方がスタッフに入ってると思います!でないと普通知らないことばかり描いてます!

呪詛や言霊が身近にあることや、歌にも同じ力があり、韻を踏んだ言葉を思念を込めて繰り返し歌えば呪いにも祝詞にもなることなんかは、現代でも調べても出てこない知識ですよね。

内容がディープ過ぎてメジャー路線には乗らず、続編が描かれなかったのは残念。(漫画としては内容が難しすぎたと思う)

闇の王の話もちゃんと知りたかった〜!

また光と闇の戦いにおける善悪の逆転もこの漫画で教わりました。 当時は子供だったこともあり、光=善、闇=悪の単純思考だったわけですが、闇と光の設定も深くて、想像だけで書けないと思うんですよね。

例えば闇として葬られた鬼は、国常立大神や、東北の縄文人の王たち等がおられますね。

いずれも悪神として鬼門に封じられて節季において呪いをかけ直されてます(節分の豆まきも、お正月のしめ縄も雑煮も、全て呪いが込められています)

また戦いに敗れた古代王朝といえば、出雲族の神々(王達)ですが、出雲大社の巨大なしめ縄で封印されているとかいないとか。

現代、光とされている者たちがしてきた事は? 闇(鬼)とされて封印されている者たちとは?

そんな日本における神話や闇の歴史を彷彿とさせる漫画でした。

また重要なキーワードとして、東北の神が巨大な呪詛の犠牲になったこと、都庁ビルが東京の磁場を歪めていること、光の組織が偽の光を示唆すること、八百比丘尼伝説、産女の伝承、今昔物語などの伝説を巧みに取り入れているのも興味深いですね。

紙版は絶版のため入手困難ですが、電子書籍として配信されているので漫画アプリで無料で読めますよ。

私はKindle Unlimitedで全巻配信されているのをみつけたので懐かしくて一気読みしてしまいました!

 

 

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