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ネタバレ アニメ 新世界より 感想 主人公イラつく

新世界より

貴志祐介の小説が原作だから面白いかも!と思い視聴。(黒い家はめちゃ怖かった)

舞台は現代より1000年後の茨城。埼玉でも神奈川でもなく茨城。

古代中国の王朝と、江戸〜大正時代が混ざったような雰囲気の都市設定で、テクノジーは衰退し、代わりに呪力という超能力で諸々を補っている。

一回都市ぶっ飛んでも1000年あったら生活水準は一回上がったとこまでは上がるだろ、とか全部呪力で補うシステムとか無理あり過ぎるだろ、など突っ込みどころ満載ながら、ストーリー自体は非常に面白かった。

後半の追い込み方とか引き込まれ過ぎてやばい。

 

 

神と奴隷 身分差別のおぞましさ

この世界の人間は呪力という超能力を誰もが持っていて、同時に呪力を持たないが同等の知能を持つ生き物として「バケネズミ」という生き物がいる。

彼らは非力で、醜く、人間に抗えずに支配・監視管理され、ビクビクと惨めったらしく生きている。逆に人間は神と崇められ、彼らを虫けらとして扱い、反逆や暴力行為を行う者は簡単に超能力で捻り潰す力を持っている。

主人公達の幼少期もそのような価値観で進み、バケネズミを殺すことに何の罪悪も持っていない。その代わり、子供の頃からの徹底した倫理教育と遺伝子操作で同族同士の殺し合いは絶対に行わないように躾けられている。

物語終盤ではバケネズミが人間に反旗を翻し、神vs.奴隷の戦争が始まる。そこで描かれる人間達の倫理感の歪みと傲慢さに自覚がないだけにおぞましい。多くの人間がバケネズミの反乱軍により殺されたが、この戦いを終わらせる為に主人公を導いた勇猛なバケネズミを囮にして、敵と同士討ちさせる。(設定上それしか勝ち目は無かった)

そして反乱の鎮圧後、主人公は首謀者に対して「貴方が残虐に殺した人達の事を悔いて死んで欲しい」と伝える。

それに対して首謀者のバケネズミは「いいですよ、あなた方が虫けらのように捻り殺した同胞の一人一人を思い返してくれるならね。」と答える。

それな。

その後に行われた裁判は、正気の沙汰では無かった。

バケネズミの「我々は人間だ!」の発言に対して憤り、嘲笑する人間達。「笑いたければ笑うがいい!悪が永遠に栄えることはない!」この発言により、彼は永遠に苦しみ続ける無限に地獄の刑に処された。それが正義の鉄槌なのか…。

ラストで判明したバケネズミの正体だが、彼らは古代の呪力を持たない人間とハダカデバネズミとを掛け合わせて作られたミュータントだったのだ。(現代人はこの事実を知らない)倫理とはwww

因みにバケネズミのモデルとなった「ハダカデバネズミ」は実在していて、その習性は中々強烈で面白い。

2018年9月6日ニュース「ハダカデバネズミは、女王の糞を食べて「親」になる」 | SciencePortalscienceportal.jst.go.jp

主人公はバケネズミへの処遇に対してこのままでいいのか思い悩むが、恋人の覚(さとる)は「それでも彼らを同胞とは認められないのが現実」と一蹴する。(それもまた然り)

作者は、人間が「バケネズミの気持ちを想像することが全く出来ない」という倫理的に異常な状態を淡々と表現していて、読み手にモヤモヤとした違和感与えながら真髄に迫らせてくる。

相手の気持ちや苦痛を考えられないとは、残酷なことが平気で出来てしまう才能でもある。そういったネガティヴで利己的な社会は、多くの命を犠牲にした後、かならず縮小して途絶える。私はそれがとても悲しいし怖い。

なんか、アヌンナキと人間みたいとも思った。

人間はアヌンナキという宇宙人とサルの遺伝子を組み合わせて作られた生き物だとされている。

作成の目的は、地球任務における重労働と奴隷の役割を担わせる為。

本来の人間には火事場の馬鹿力ならぬ無限の潜在能力が秘められているらしいが、これらも奴隷として扱いやすくする為に遺伝子操作されているのだとか。

古代神話には、神の機嫌1つで街ごと潰されたり、根絶やしにされたり、やられたい放題やられてる人間達が描かれている。そこまでされても神を畏れ神に祈って縋る姿は、正に化けネズミだ。

余談だが、大昔に見た「ブライ」というハエと人間を掛け合わせる人体実験の胸くそ映画も彷彿とさせる物語だった。(超キモイ)

ただし、アニメは超絵が下手

制作会社には悪いがキャラ絵が下手すぎる。

そもそもキャラデザ自体変。目が大き過ぎて物語にミスマッチ。

絵柄も安定せず、話数ごとに絵がガラリと変わることも多々。予算が無くて人が少ないのか?仲悪いの?とか、製作準備期間が短いまま放映に入ったのか?とか製作の裏舞台が色々気になる。

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あと絵が下手なのと相まって、主人公が腹立つwww

慎重になる状況でキレたり、危機的な状況でぼけっとした顔してたり、情緒不安定すぎる。それなのに「強い人」らしい。

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なんかイラつくのに、物語の中でもモテモテ設定。そこは理解出来ないんだよなぁ。

あと、業魔(力が暴走して人に危害を与える状態)になった友人(主人公が好きな男の子)を助けに行くシーンの儚げな無表情が凄い腹立つwww

危害を与えてしまうから「帰って欲しい」という友人に、「いや!帰らない!」とわがままいうし、おそらく顔が変形してしまっている為、仮面をつけている彼に対して「仮面をとってよ…」とエロい顔↓で縋ったり、フワフワすんな!真面目にやらんかい!ほんまに腹立つ奴やなぁ!とイライラしっぱないし笑

命の危機が迫っているときにする顔では無い。

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その辺の演出もちょっと難ありだが、ストーリーだけでも見る価値はあり!